S風の森の3つの約束
Our rule
葛城山麓の秋津穂の個性を「S風の森」に映し出すため、次の3つの約束の元、酒造りを行います。
1.葛城山麓産 秋津穂を使用する。
葛城山麓の秋津穂は、灌漑用水の届かない標高約400メートルの場所で栽培されています。山から湧き出でる冷たい山水のみで秋津穂が育つこの地域は、高温障害を受けにくく、昨今の地球温暖化の影響を受けにくい素晴らしい立地です。
この地で栽培される秋津穂には従来の栽培方法の秋津穂、特別栽培米の基準に則った減農薬栽培のもの、さらには農薬化学肥料を一切用いず、より地球にやさしい環境負荷の少ない農業によって育てられたものがあります。
地域の農家の方々を巻き込んでいく山麓蔵では農家によって異なるさまざまな栽培方法の秋津穂を使いながら、農家との信頼関係を深め、より環境負荷の少ない農業への転換を進めていきたいという思いです。
2.食用米程度の精米に。
葛城山麓の秋津穂は最高の水、空気、太陽、月、土のエネルギーの中で栽培された力みなぎるお米です。これら秋津穂米に凝縮されたエネルギーを余すことなくS風の森に変換したい。
だから精米歩合は食べるお米程度で酒造りを行います。
葛城山麓の力を感じていただける「S風の森」、複雑味や深さを感じていただけるのはその精米歩合の高さゆえです。
3.奈良酒の伝統技法の応用する。
長きにわたる菩提酛研究会での活動、水端での古典技法の再現などから学んだ、そやし水、高温発酵といった奈良酒の伝統技法を応用します。
日本酒とはその地のエネルギーが凝縮された米と酒蔵のある土地の水を掛け合わせ、さらにはその地域固有の伝統技法を用いることで造り上げる、地域を映し出した鏡の様なお酒です。
日本清酒発祥の地・奈良の寺院醸造の中で培われてきたこれらの古き技法を応用することで、大地のエネルギー由来の味わい、現代ならではの技法による味わいに加えて、奈良の伝統的な要素を味わいのレイヤーに重ね合わせていくのです。
これによってミルフィーユのように多重層化した、みずみずしくも深みの感じる「S風の森」を造ることが実現できると考えています。
そやし水:正暦寺で発見された正暦寺乳酸菌による米からできた乳酸発酵水。日本人は古来より無益な菌から酒造りの発酵を守るため乳酸菌を生かしてきました。「S風の森」では独自の酒母造りなどに応用しています。
高温発酵:一般的に江戸時代中期以降の日本酒は冬の寒い時期に低温発酵させますが、「S風の森」では室町時代奈良の寺院で行われていた、夏季醸造の高温発酵の技法も採用しています。これによって溶けにくい低精白の秋津穂をしっかりと溶かしその個性を「S風の森」に映し出します。